根管治療した歯が何年も経ってから痛むのはなぜ?|再感染・歯根破折・噛み合わせを見分けるポイント
スタッフブログ2026.09.27
「神経を取った歯なのに、なぜ痛いの?」
「根管治療をして何年も問題なかったのに、最近になって噛むと痛くなった」
このようなご相談をいただくことがあります。
神経を取った歯では、冷たいものがしみるといった歯髄由来の感覚は通常なくなります。しかし、歯の周囲にある歯根膜や骨、歯ぐきには感覚があります。
そのため、根管治療をした歯でも、何年か経ってから痛みや違和感が出ることがあります。
そして重要なのは、その原因がすべて「根管治療の失敗」とは限らないことです。
原因① 根管の中で再び感染が起きている
根管は非常に細く、湾曲したり枝分かれしたりしています。
初回の根管治療で見つけにくい根管が未処置になっていたり、複雑な部分に細菌感染が残っていたりすると、時間が経ってから歯根の先に炎症が生じることがあります。
また、一度治療された歯でも、新しいむし歯や被せ物・詰め物の隙間などから細菌が再び侵入することがあります。
このような場合、歯根の先に炎症が起こり、
・噛むと痛い
・歯が浮いたような感じがする
・歯ぐきが腫れる
・歯ぐきにニキビのようなできものができる
といった症状が現れることがあります。
一方、症状がほとんどなく、レントゲン撮影で初めて根の先の病変が見つかることもあります。
原因② 歯に亀裂や歯根破折が起きている
もう一つ注意したいのが、歯の亀裂や歯根破折です。
根管治療を受けた歯は、神経を取ったこと自体だけではなく、もともとの大きなむし歯や過去の治療によって歯質が少なくなっていることがあります。
そこに長期間の噛む力などが加わり、歯に亀裂が生じる場合があります。
亀裂や破折による症状は一定ではなく、
「硬いものを噛んだときだけ痛い」
「噛んで力を抜いた瞬間に痛む」
「普段は何ともないのに、ときどき違和感がある」
など、断続的に現れることもあります。
また、歯根破折では一部分だけ歯周ポケットが極端に深くなったり、同じ場所の歯ぐきが繰り返し腫れたりすることもあります。
歯根破折の位置や範囲によっては保存が難しくなることがあるため、再根管治療を始める前に破折の可能性を確認することが大切です。
原因③ 噛み合わせや歯周組織に問題がある
「根管治療した歯が痛い=根の中に感染がある」とは限りません。
噛み合わせの力が一部分に集中し、歯の周囲にある歯根膜に負担がかかっている場合もあります。
また、歯周病によって歯を支える組織に炎症が起きていることもあります。
そのため、
・いつ痛むのか
・歯を軽く叩くと痛むのか
・噛んだときだけ痛むのか
・特定の方向で噛むと痛いのか
・一部分だけ深い歯周ポケットがないか
・歯に動揺がないか
などを確認し、原因を絞っていきます。
CTを撮れば原因は必ず分かる?
歯科用CTは、通常のレントゲンでは分かりにくい歯根や周囲の骨を三次元的に確認できる検査です。
特に根の先の病変や複雑な歯根形態、再根管治療の計画を立てる際には有用な場合があります。
しかし、CTを撮ればすべての感染や歯の亀裂が必ず分かるわけではありません。
CTやレントゲンだけで診断するのではなく、症状、歯周ポケット、噛み合わせ、過去の治療歴などを組み合わせて判断することが大切です。
再根管治療で歯を残せることがあります
根管内部の感染が原因と考えられる場合には、再根管治療を検討します。
以前の根管充填材などを除去し、根管内部をもう一度清掃・消毒して、感染源をできるだけ減らしていく治療です。
再根管治療では、被せ物や土台を外す必要がある場合があります。また、初回の根管治療よりも根管内の構造が複雑になっていることもあります。
そのため当院では、必要に応じて歯科用CTやマイクロスコープを使用し、通常のレントゲンや肉眼だけでは確認しにくい根管形態なども確認しながら治療を行います。
一度根管治療をした歯に再び問題が起きたからといって、必ず抜歯になるわけではありません。
再根管治療が難しい場合は?
根管内部からの再治療が難しい場合には、歯根端切除術などの外科的歯内療法が選択肢になることがあります。
これは歯ぐき側から歯根の先へアプローチし、病変や歯根の先端を処置する方法です。
非外科的な再根管治療が難しい場合に、歯を保存するための選択肢として検討します。
一方で、
・歯根が大きく割れている
・残っている歯質が極端に少ない
・歯を支える骨が著しく失われている
・治療しても長期的な安定が期待しにくい
といった場合には、無理に歯を残すよりも抜歯を検討した方がよいこともあります。
大切なのは、「治療済みの歯が痛いから抜歯」でも、「何が何でも再根管治療」でもないことです。
ごこちデンタルクリニックが大切にしていること
根管治療をした歯に再び痛みが出たとき、当院ではまず、
「なぜ痛いのか?」
を考えることを大切にしています。
根管内の再感染なのか。
未処置の根管があるのか。
歯根破折なのか。
歯周病や噛み合わせが関係しているのか。
原因によって必要な治療はまったく異なります。
CTやマイクロスコープなども利用しながら原因をできるだけ詳しく調べ、再根管治療、外科的歯内療法、歯周治療などの選択肢を検討します。
もちろん、保存することで感染を繰り返したり、周囲の骨をさらに失ったりする可能性が高い歯を、無理に残すことが目的ではありません。
残す価値があり、保存できる可能性のある歯については、できるだけ歯を残す方法を考える。
これが、ごこちデンタルクリニックの根管治療に対する基本的な考え方です。
まとめ
根管治療をした歯でも、数年後に痛みが出ることがあります。
原因には、根管内の再感染、未処置の根管、新しいむし歯、被せ物からの細菌侵入、歯の亀裂や歯根破折、噛み合わせ、歯周病など、さまざまなものがあります。
だからこそ重要なのは、すぐに再治療や抜歯を決めることではなく、まず痛みの原因をできるだけ正確に診断することです。
一度根管治療をした歯に問題が起きても、再根管治療や外科的歯内療法によって歯を残せる場合があります。
「神経を取った歯だから痛むはずがない」
「一度治療した歯だから、もう抜くしかない」
と自己判断せず、まず現在の歯と歯根周囲の状態を詳しく調べることをおすすめします。



