歯周病治療後も歯周ポケットが5〜6mm残っている|すぐ手術や再生療法が必要?

スタッフブログ2026.10.08

「歯周病の治療をしたのに、まだ5mmのポケットがあると言われました」

「歯周ポケットが6mmあるなら、手術をした方がいいのでしょうか?」

歯周病治療後の再検査で、このような不安を感じる方もいらっしゃると思います。

歯周ポケットの深さは、歯周病の状態を判断する大切な指標です。

しかし、5mmだからすぐ手術、6mmだから必ず再生療法、という単純なものではありません。

大切なのは、ポケットの数字だけを見るのではなく、治療前からどのくらい改善したのか、出血があるのか、骨の形はどうなっているのかなどを総合的に判断することです。

まずは歯周病の基本治療を行います

歯周病治療では、いきなり手術をするわけではありません。

まず、歯磨きの改善、プラークや歯石の除去、喫煙などのリスク因子への対応といった**非外科的歯周治療(歯周基本治療)**を行います。

その後、一定期間治癒を待ってから再評価します。

深かった歯周ポケットが浅くなり、出血もなく安定することがあります。

歯周病治療では、この**「基本治療を行い、組織の反応を確認する」**という過程が非常に重要です。

「5mm残った」だけでは判断できません

例えば、治療前に8mmだったポケットが治療後に5mmになり、出血もなく、プラークコントロールが良好なケース。

一方で、治療後も5mmあり、検査のたびに出血し、プラークも残りやすいケース。

同じ5mmでも、その意味は異なります。

現在の歯周病治療では、出血を伴う5mm以上のポケットや、6mm以上の深いポケットをできるだけ残さないことが、治療目標の一つとされています。

ただし、これはすべての部位に直ちに手術が必要という意味ではありません。

6mm以上のポケットが残った場合は?

非外科治療後にも6mm以上の深いポケットが残っている場合には、追加治療を検討します。

深いポケットでは、通常の器具だけでは根の表面に付着した歯石や感染源を十分に除去することが難しい場合があります。

そのため、再度の非外科治療や、必要に応じて歯ぐきを開いて根面を直接確認する**歯周外科治療(フラップ手術)**を検討します。

ただし、6mm以上だからといって全員に手術を行うわけではありません。

患者さんの全身状態、歯磨きの状態、歯の位置、清掃性、骨欠損の形態なども含めて判断します。

歯周組織再生療法ができる場合・できない場合

深いポケットが残っているからといって、すべての場所に歯周組織再生療法が適しているわけではありません。

再生療法では、ポケットの深さ以上に、歯を支える骨がどのような形で失われているかが重要です。

歯の周囲に骨の壁が残っている骨縁下欠損など、再生に適した形態では、エムドゲインなどを用いた歯周組織再生療法を検討することがあります。

一方、水平的に広く骨が失われている場合や、プラークコントロールが十分でない場合には、再生療法が適さないこともあります。

また、再生療法を行っても、失われた歯周組織が必ず元通りになるわけではありません。

「深いポケットがある=再生療法ができる」ではないのです。

手術をせずに経過を見ることもある?

あります。

治療後にポケットが少し残っていても、出血がなく、プラークコントロールが良好で、状態が安定している場合には、メンテナンスを続けながら慎重に経過を見ることがあります。

ただし、深い残存ポケットは将来的な歯周病の再発や進行のリスクとなります。

そのため、単に「痛くないから大丈夫」と考えるのではなく、定期的な検査によって変化がないかを確認する必要があります。

歯周病治療では「待つこと」も大切です

歯周病治療によって炎症が改善すると、歯ぐきだけでなく、歯を支える組織にも時間をかけて変化が起こります。

骨縁下欠損では、非外科治療後にレントゲン上で骨の改善が認められる場合もあります。

そのため、治療直後のポケットの深さだけで次の治療を決めるのではなく、治癒の経過を確認することも大切です。

もちろん、深いポケットや炎症が残っている状態を長期間放置してよいわけではありません。

適切な時期に再評価し、必要な部位に必要な治療を行うことが重要です。

ごこちデンタルクリニックが大切にしていること

ごこちデンタルクリニックでは、歯周病治療後に深いポケットが残ったとき、

「数字が深いから、すぐ手術」

とは考えません。

まず、非外科的歯周治療に対して歯周組織がどのように反応したのかを確認します。

出血は残っているのか。

プラークは十分にコントロールされているのか。

骨縁下欠損があるのか。

再生療法に適した骨の形なのか。

メンテナンスで安定させられるのか。

それらを確認したうえで、再度の非外科治療、歯周外科、歯周組織再生療法、あるいはSPT(歯周病安定期治療)での経過観察を選択します。

治療すること自体が目的ではなく、炎症をコントロールし、その歯をできるだけ長く守ること。

これが当院の歯周治療に対する基本的な考え方です。

まとめ

歯周病治療後に5〜6mmの歯周ポケットが残っていても、それだけですぐに手術が必要とは限りません。

重要なのは、

  • 歯周ポケットの深さ
  • 歯ぐきからの出血
  • プラークコントロール
  • 治療前からの改善量
  • 骨欠損の形態
  • 患者さん自身のリスク

などを総合的に評価することです。

一方で、深い残存ポケットをそのまま放置してよいわけでもありません。

非外科治療後にきちんと再評価し、必要であれば追加治療を行い、状態が安定したら継続的なメンテナンスへ移行する。

「基本治療 → 再評価 → 必要な部位への追加治療 → メンテナンス」

という流れが、歯周病治療ではとても大切です。

歯周ポケットが残っていると言われた場合には、数字だけで判断せず、その歯の状態や今後の治療方針について歯科医師と相談することをおすすめします。