インプラントの周りの歯ぐきが薄い・少ないとどうなる?|角化粘膜と歯肉移植の必要性

スタッフブログ2026.10.19

「インプラントの周りの歯ぐきが下がってきた」

「歯磨きをすると痛いけれど、歯ぐきが少ないことと関係があるのでしょうか?」

インプラントを長く使うためには、周囲の骨だけでなく、歯ぐきの状態も重要です。

実は、インプラント周囲の歯ぐきには、厚みと幅という2つの大切な要素があります。

今回は、インプラント周囲の歯ぐきが薄い・少ない場合に起こり得る問題と、歯肉移植の必要性について解説します。

インプラントの周りには、どんな歯ぐきが必要?

インプラントの周囲には、比較的硬く、動きにくい「角化粘膜」と呼ばれる組織があります。

角化粘膜は、歯ブラシなどによる刺激を受けても比較的安定している組織です。

一方、その周囲には柔らかく、動きやすい粘膜があります。

角化粘膜が少ない場合、歯磨きの際に違和感や痛みが生じ、十分に清掃できなくなることがあります。

その結果、プラークが蓄積し、炎症が起こりやすくなる可能性があります。

ただし、角化粘膜が少ないからといって、必ずインプラント周囲炎になるわけではありません。

歯ぐきの「幅」と「厚み」は違います

インプラント周囲の歯ぐきを評価する際には、幅と厚みを分けて考える必要があります。

角化粘膜の幅は、歯ぐきの縁から動きやすい粘膜との境目までの距離です。

粘膜の厚みは、インプラントの周囲を覆っている組織の厚さを指します。

角化粘膜の幅が少ない場合には、清掃時の不快感やプラークの蓄積が問題になることがあります。

一方、粘膜が薄い場合には、インプラントやアバットメントの色が透けたり、歯ぐきの退縮が審美的な問題になったりすることがあります。

この2つは関連していますが、同じものではありません。

角化粘膜は2mm以上必要?

インプラント周囲の角化粘膜については、幅2mmを一つの目安として検討した研究が多くあります。

角化粘膜が2mm未満の部位では、プラークの蓄積や歯ぐきの炎症、清掃時の不快感などが多い傾向を示した研究があります。

しかし、研究結果にはばらつきがあり、2mm未満だから必ず問題が起こる、2mm以上あれば安心という明確な境界ではありません。

実際には、患者さんの清掃状態、歯周病の既往、被せ物の形態、周囲組織の状態などを総合的に判断します。

歯ぐきが少ない場合は移植が必要?

すべての患者さんに歯肉移植が必要なわけではありません。

角化粘膜が少なくても、痛みなく清掃でき、炎症がなく安定している場合には、経過観察を選択することがあります。

一方、歯磨きの際に痛みがある、清掃が難しい、炎症を繰り返すといった場合には、歯肉移植を検討することがあります。

代表的な方法には、次の2つがあります。

遊離歯肉移植術(FGG)

主に角化粘膜の幅を増やすことを目的とした治療です。

上あごの内側などから歯ぐきを採取し、必要な部位に移植します。

結合組織移植術(CTG)

主に歯ぐきの厚みや形態を改善することを目的とした治療です。

前歯部インプラントなど、見た目が重要な部位でも検討されます。

どちらも適応は異なり、歯ぐきの状態や治療目的によって選択します。

歯肉移植のリスクと限界

歯肉移植は外科処置のため、術後に痛み、腫れ、出血などが生じることがあります。

また、移植した組織が収縮したり、期待した厚みや幅が得られなかったりする場合もあります。

歯ぐきが下がっている原因がインプラントの位置や周囲の骨の不足にある場合には、歯肉移植だけで十分に改善できないこともあります。

歯肉移植をすれば、インプラント周囲炎を必ず予防できるというものではありません。

ごこちデンタルクリニックが大切にしていること

ごこちデンタルクリニックでは、インプラントを埋入することだけでなく、治療後の清掃のしやすさや周囲組織の安定性を重視しています。

インプラント周囲の歯ぐきに問題がある場合には、角化粘膜の幅や厚み、炎症の有無、周囲の骨の状態などを確認します。

そのうえで、メンテナンスによる管理が適切なのか、歯肉移植などの外科処置が必要なのかを検討します。

「歯ぐきが少ないから手術」ではなく、「その歯ぐきがインプラントを守るうえで問題になっているか」。

この視点を大切にしています。

まとめ

インプラントの周囲では、骨だけでなく歯ぐきの状態も重要です。

角化粘膜が少ない場合には、清掃時の不快感や炎症などが問題になることがあります。

また、歯ぐきが薄い場合には、審美性や歯ぐきの退縮が問題になることもあります。

ただし、すべての患者さんに歯肉移植が必要なわけではありません。

インプラントを長く使うためには、周囲の歯ぐきの状態を適切に評価し、必要な処置と継続的なメンテナンスを行うことが大切です。