虫歯が深いと言われたら、神経は必ず取る?|歯の神経を残す治療とその限界

スタッフブログ2026.11.02

「虫歯が深いので、神経を取る必要があります」

歯科医院でこのように説明されたことはありませんか?

歯の神経を取る治療(抜髄)は、進行した虫歯に対して必要になることがあります。しかし、虫歯が深いからといって、必ず神経を取らなければならないわけではありません。

歯の状態によっては、神経を保存する治療を選択できる場合があります。

今回は、歯の神経を残す治療と、その適応や限界について解説します。

歯の神経には大切な役割があります

一般的に「歯の神経」と呼ばれる組織は、正確には「歯髄(しずい)」といいます。

歯髄には神経だけでなく、血管なども含まれています。

冷たいものや熱いものを感じる働きに加え、歯に栄養を供給し、刺激に反応して象牙質を形成する働きもあります。

そのため、可能であれば歯髄を健康な状態で保存することには意義があります。

ただし、神経を取る治療が必要になった場合でも、適切な根管治療によって歯を残せることがあります。

深い虫歯でも神経を残せる場合があります

虫歯が神経の近くまで進んでいても、歯髄の炎症が軽度で、回復が期待できる場合には、神経を残す治療を検討できます。

例えば、冷たいものがしみても刺激がなくなると比較的早く症状が治まる場合などです。

ただし、症状だけで神経を残せるかどうかを判断することはできません。

痛みの経過、レントゲン所見、歯髄の反応、実際の治療中に確認できる状態などを総合的に評価する必要があります。

神経を残す「覆髄治療」とは?

覆髄(ふくずい)とは、虫歯が神経に近い場合や、治療中に神経が露出した場合に、歯髄の保護と保存を目指す治療です。

深い虫歯では、神経を露出させないために、神経に近い部分の虫歯を選択的に残し、適切に封鎖する方法が検討されることもあります。

また、神経が露出した場合でも、歯髄の状態によっては直接覆髄や、炎症のある歯髄の一部を取り除く断髄という治療が選択肢になります。

MTAセメントとは?

神経を保護する治療に用いられる材料の一つが、MTAなどのカルシウムシリケート系材料です。

生体との親和性や封鎖性などの特徴があり、歯髄の保存を目指す治療に利用されています。

ただし、MTAを使用すれば必ず神経を残せるというわけではありません。

治療前の歯髄の状態、感染の程度、処置後の封鎖状態などが結果に影響します。

また、使用する材料によっては歯の変色が生じる場合もあります。

神経を残すことが難しい場合は?

何もしなくても強い痛みが続く、夜間に痛みが出る、歯髄の壊死や感染が疑われる場合などには、根管治療が必要になることがあります。

ただし、強い痛みがあっても、状態によっては断髄などの歯髄保存治療を検討できる症例もあります。

重要なのは、痛みの強さだけで決めつけないことです。

また、神経を残す治療を行った後でも、痛みが続いたり、後から歯髄が壊死したりして、根管治療が必要になる場合があります。

そのため、治療後の定期的な経過観察も大切です。

ごこちデンタルクリニックが大切にしていること

ごこちデンタルクリニックでは、虫歯を治療する際に、できるだけ健康な歯質や歯髄を保存することを大切にしています。

神経を残せる可能性がある場合には、歯髄の状態を評価し、覆髄処置などの選択肢を検討します。

一方、神経を残すことが難しい場合には、適切な根管治療によって歯そのものを保存することを目指します。

神経を残すことだけにこだわるのではなく、歯を長期的に健康な状態で使えるようにすること。

これが当院の基本的な考え方です。

なお、MTAを用いた覆髄処置などには自由診療となる場合があり、適応や費用については診査後にご説明します。

まとめ

虫歯が深くても、必ず神経を取るとは限りません。

歯髄の状態によっては、覆髄や断髄などの方法で神経を保存できる可能性があります。

ただし、すべての歯に適応できるわけではなく、治療後に根管治療が必要になることもあります。

大切なのは、虫歯の深さだけで判断せず、歯髄の状態を適切に診査することです。

「神経を取る必要があると言われたけれど、できれば残したい」という場合には、まず神経を保存できる条件があるかどうか、歯科医院で相談してみてください。